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「ヨーロッパにおけるドイツの20世紀」レビュー

こんばんは、シタン先生です。


今日こそは更新しなきゃいけないと思いまして(^^;

お待たせしました!!(そんな人いるんでしょうか 苦笑)

最近は、政治史・英語共に牛の歩みで前進している感じです。この感じだと間に合わないかも(汗)

今回は熊野直樹氏の「ヨーロッパにおけるドイツの20世紀」をレビューします。

熊野直樹氏は、ドイツ政治史の研究者です。

では(?)、いってみましょう。

熊野直樹「ヨーロッパにおけるドイツの20世紀――ある反西欧的近代の政治社会史――」


<本稿の問題意識・目的>
 ナチズムを生み出した要因とも言われているドイツの反西欧的な政治文化、それを担っていた社会集団の変容を20世紀というスパンの中でマクロに検討する。20世紀におけるドイツの政治社会と西欧との関わりを、アメリカとの関わりにも着目しつつ考察する。


はじめに
 「戦争の世紀」と言われる20世紀。その中で、ドイツはなぜ「ファシズム的ないし全体主義的となったのか」というのは一つの大きな問題であるが、「政治社会史」「ナチズム=近代の病理論」の二つの立場からこの問題の答えが出される。

「政治社会史」(「社会構造史」):ドイツの反西欧的な政治文化、それを担っていた社会集団や社会構造の残存のため
「ナチズム=近代の病理論」:近代の持つ危機的性格を強調

 「政治社会史」の立場によると、ナチズムの登場の要因に対するドイツの特殊事情の役割が重要視される。一方「ナチズム=近代の病理論」の立場になると、ナチズムの登場要因は近代の構造そのものに求められることになるという点で、かなりの程度一般化されることになる。
 筆者は、「ナチズム=近代の病理論」も評価しつつも、それでも何故ドイツにおいてナチズムが勃興したのかという点に答えられていないと考え「政治社会史」的立場にこだわる。
 本論文では、「西欧化」「近代化」という概念について独自の定義づけが与えられているが、これらの概念を使って分析を進めることで「政治社会史」と「ナチズム=近代の病理論」との論争に何らかの示唆を与えようとする。

西欧化:英仏を中心とした西欧をモデルとした価値規範的な志向性
→価値規範的な近代理解
※価値中立的な分析概念として制約が多い

近代化:資本主義化、工業化、都市化、大衆化といった主に価値中立的な社会現象
→プラグマティックな近代理解
※価値規範性が希薄なため、ナチズムの相対化という危険


一 反西欧的近代化の時代 1871年~1918年
 ドイツの近代化は、ナポレオンの影響によるところが大きい。ナポレオンの支配をきっかけに近代化の必要性が認識され「上」からの改革がなされ、ナポレオン支配からの解放をきっかけに「1789年の理念」や「西欧的なるもの」に対する嫌悪感が生まれた。そして、その後生まれた第二帝政下では権威主義的な政治がなされ、反民主主義・反自由主義・反議会主義と言った反西欧的な政治文化が広範な社会層に浸透した。

【第二帝政時の政治文化の特徴】
・「西欧的なもの」に対する反発
・「非ドイツ的」な理念や制度の拒否

 そのころ、ドイツはヨーロッパ有数の先進工業国へと成長していた。
【第二帝政時の社会状況】
・経済的な近代化が貫徹 → 労働運動の盛り上がり
・労働運動と社会主義運動の結びつき → 社会主義的政党の躍進

 これは、手工業者や小売業者、農民と言った旧中間層の危機感を煽ることになった(※1)。
旧中間層は、同じく自由競争や社会主義に対して不満を持つユンカーや重工業家と共に「生産的諸身分のカルテル」という団体を設立し、膨張主義的な対外政策を支持していく。
(※1)これら旧中間層は、資本主義的工業化による自由競争によって不利益を受けかねない勢力であった。また社会主義勢力の勃興にも不満を持っていた。

 その後、第一次世界大戦が起こるが、開戦当初は、知識人や「生産的諸身分のカルテル」からの支持を受けていた。とりわけ「生産的諸身分のカルテル」は、東西ヨーロッパの領土割譲を要求する請求書を送る。ここにドイツにおける反西欧的政治文化は「1914年の理念」として結実する。しかしながら、戦争の長期化に従い、厭戦気分が広がっていった。


二 西欧的近代化と反西欧的近代化のはざま 1919年~1945年
 第一次世界大戦に敗れて第二帝政は崩壊、次にできたのは反西欧的伝統とは正反対の政治体制であるヴァイマル共和国であった。外交政策においても、東西ヨーロッパ協調する一方で、ソ連との間で「ラッパロ条約」を結ぶなど「ブランコ外交」が展開された。この点で、ドイツは外交的にも「中欧」構想から決別した。

 ヴァイマル共和国になり、第一次世界大戦を当初支持していた「生産的諸身分のカルテル」にも転機が訪れる。
【「生産的諸身分のカルテル」の解体】
・「生産的諸身分のカルテル」のメンバーである、権力エリート層(ユンカー・重工業家)・旧中間層はそれぞれの立場において、ナチスの台頭「以前」にヴァイマル共和国から離反
→「結果的に」(※2)ナチスの主要な社会的基盤へ
(※2)それぞれの勢力が志向しているものは以前にも増して異なっており、以前のように社会階層を越えて連合することはなかった

【ナチスドイツの位置づけ】
=反西欧的な志向性を持った「近代の病理」、「反西欧的近代の病理」。つまり、ナチスドイツは西側協調路線を攻撃していた点など、やはりドイツ独特の反西欧的伝統を引き継いでいるもの点までは否定できない

【ヒトラーとユンカー・旧中間層】
ヒトラーの目標:中欧ヨーロッパにおけるドイツ民族の覇権の確立とヨーロッパの征服(=第二帝政の対外政策プログラム)
再軍備政策が優先され、重工業界は優遇されたが、それと関係のない要求には冷ややかであった

ユンカー…強制的同質化によって力を喪失
ユンカー以外の農民…農民指導者ダレーの失脚により利益が後回しにされ、戦争が始まると労働力不足が深刻になる
旧中間層…「第三帝国」においては「不要になった身分」
→「第三帝国」に対して少なからず不満を抱く


三 反西欧的近代化から欧米的近代化へ 1945年~1990年
 「第三帝国」崩壊後、東西冷戦の影響もあり、ドイツにはドイツ連邦共和国とドイツ民主共和国という二つの国家ができた。それぞれの、戦後の政治社会と社会集団の変更を追っていく。

(一)西側統合と反西欧的伝統の解消―ドイツ連邦共和国―
ドイツ連邦共和国(西独):英仏、アメリカを中心とした西側統合を推進。欧米、とりわけアメリカをモデルとした民主化を推進。
ユンカー → 消滅
重工業界 → 解体され欧米化が促進された
旧中間層 → 「経済の奇跡」を前に自由民主主義体制を受容
農民   → 収入が上昇し、欧米的規範や価値観に適応

(二)反欧米としてのソ連型近代化―ドイツ民主共和国―
ドイツ民主共和国(東独):反西欧的伝統の社会的基盤を、西独以上にラディカルに解体。共産党一党独裁体制を確立、東側統合と急激な社会主義化を図る。経済的にも反欧米的なソ連型モデルによる経済的近代化(=工業化)を推し進めていく。
→西独社会とはおよそ異なった価値観や政治文化を持つ政治社会が形成。社会集団も西独とは大きく異なる。

【「ベルリンの壁」崩壊、ドイツの統一】
・民主化運動が統一運動へと変貌~東独は西独に吸収される
東独の欧米化=反欧米化の失敗


むすびにかえて
ドイツにおける反近代的・反欧米的近代化の失敗~「ドイツのヨーロッパ化」
⇒これが、分析の結論(以下は、論者の問題提起である)


※これをドイツの歴史家が評価
西欧中心史観・楽観主義が背後に潜んでいるが、この考え方は批判を浴びる。また、東側のドイツの現状は「ドイツのヨーロッパ化」を肯定(のみ)する見解に対しての反証事例となる。

【ドイツ(東側)の現状】
=若者を中心とした、現代ドイツの政治理念や制度に対する疑念や失望~欧米的な政治文化への懐疑
→民主的社会主義党・極右への支持(=東独の政治文化の西欧化ないしはアメリカ化が必ずしも成功していない)

 「下からの社会史」や日常史研究、「ナチズム=近代の病理論」の主張は、西欧型の近代一般を否定してしまいがちである。「人間の解放と束縛と言った両面を持つ西欧型の近代を、現象と価値規範の両側面から改めて検討し直す必要」がある


<シタン先生の問題意識>
 ドイツで起こった近代化が、ドイツ特有の事情から反西欧的な政治文化に転化し、全体ではないものの多くの社会層に浸透していく様子が論じられている。分析視角提示の論文としても評価できる他、ナチズム論としても「ナチズム=近代の病理論」一辺倒の議論に対して新たな問題提起を行っている点も本論文を充実したものにしている。


今回のレビューはこれで終わりです。

今回は、レジュメ的な要素を取り入れてみましたがどうでしたか?
どっちが楽かというと…文章要約のみの方が少し楽でしょうか(苦笑)

今回の記事をアップするまでに時間が空いてしまった訳ですが、もしかしたら院試が終了するまでは、2~3日に1度位の更新になるかも知れません。これまで、なるべく毎日更新を心掛けていたわけですが、ここ最近は23時以降に帰宅することが多いので、それから記事を書き始めるのはなかなかしんどいです(汗)

どうか、温かい目で見守って下さいm(_ _)m


今回も読んで下さりありがとうございました☆それでは♪


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テーマ : 歴史
ジャンル : 政治・経済

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