スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

『社会主義の世紀』レビュー(その2)

こんばんは。シタン先生です。


今回は、『社会主義の世紀』第3章のレビューです。

この前、第4章のレビューをしていたので、順序が逆になってしまいました(汗)
ただ、各章毎にテーマが異なっているので問題はそれほどないんですけどね(笑)

それでは、いってみましょう。

熊野直樹・星野治彦[編]『社会主義の世紀-「解放」の夢にツカれた人たち-』法律文化社 2004年

第3章「『ファシストの危険』・反ファシズム統一戦線・労働者政府-1923年ドイツにおける社会主義とファシズム-」


<本章の課題>
 社会主義において、「反ファシズムを前面に掲げた動きが、すでに1923年のドイツに登場し、『労働者政府』を展開する域にまで達していたものの、内外の圧力でそれが敗北していく過程を追っている」(同書頁)
 社会主義による世界革命とファシズムによる対抗革命という観点から、ドイツ革命を考察する。そして、その行方を左右する「労働者政府」の崩壊に注目することで、ドイツにおける社会主義革命、ひいては世界革命の挫折の一要因を明らかにする



<本章の要約>
社会主義:社会問題を克服したユートピアを目指す思想・運動
※その後、マルクス社会主義運動は社会民主主義と共産主義に分裂。激しく対立するようになる
共産党:ここではドイツ共産党の事を指す。当初は武装蜂起路線による国家権力奪取を目指していたが、失敗し議会主義による労働者政府の樹立からの権力掌握、革命を志向するようになっていた


はじめに/ロシア革命とドイツ
 レーニンは、世界革命の成否は1923年のドイツ革命(以後、1923ドイツ革命と略称)の成否如何にかかっていると述べた。しかし、結局1923ドイツ革命は失敗し、まるでレーニンの予言が当たるかのようにソ連が崩壊した。一方、ナチ党はロシア革命と1918年ドイツ革命の対抗革命として生じたという背景がある。つまり、この頃のドイツは、ナチスドイツの誕生、そしてソ連の世界戦略といった世界史的意義が集約的に表れている時期であったと言える。
ナチスの対抗革命:極右・反社会主義ではあるが、自らも社会主義的な要素を強調することにより、労働者をナショナルな陣営に引き戻す事が狙いとしている点で他の極右団体と区別される(ソ連の社会主義は、労働者の国際的団結を訴える<インターナショナル>)
「対抗革命」:単なる反革命ではなく、革命を起こし自分たちの意に沿う国を作り上げるという意。


「ファシストの危険」と反ファシズム統一戦線
 1922年10月28日にイタリアで起こった「ローマ進軍」は、ナチスの権力掌握のモデルとして重要な役割を果たした。ヒトラーはムッソリーニに感銘を受け、自らも「ベルリン進軍」を唱えるようになる。しかし、それは共産党や社会民主党、チューリンゲン州・ザクセン州政府に対して危機感を持たせることになった。そして、次第に社会民主党と共産党が一致してナチスに対抗するという「プロレタリア統一戦線」の構想が生まれる。そして、ドイツの右翼団体の結集から生まれた「ドイツ闘争同盟」の登場は、共産党や社会民主党、州政府の労働者に「ファシストの危険」という明確な危機感を持たせるに至った。その結果、チューリンゲン州・ザクセン州でプロレタリア百人隊の創設が話し合われ、チューリンゲン州では実際にプロレタリア百人隊が創設、「全ファシスト組織の即時の解散と武装解除」を要求した。このように右翼勢力と左翼勢力の緊張が高まる中、ついにチューリンゲン州・ザクセン州の共産党は、社会民主党および社会民主党系の労働者に対して、労働者政府樹立のための共同の闘争を呼びかけるようになる。その中で、ザクセン・チューリンゲン州の経営評議会が、共産党と社会民主党の仲介役という役割を果たした。


労働者政府の成立と「ヒトラー一揆」
 経営評議会の助けもあり、共産党はザクセン・チューリンゲン両州政府に入閣する事に成功、ここに統一戦線としての労働者政府が誕生した。また、両州政府の間でも反「バイエルン・ファシズム」同盟が成立した(「赤い州ブロック」)。当初はこのように社会主義ではあっても、合法的な議会主義路線による権力掌握(「社会主義への民主主義的な道」)が目指されていたのである。しかし、コミンテルン(ソ連における共産党の本部)や共産党の一部は、この労働者政府の樹立を「ファシストの危険」ではなく世界革命への脈絡の中で位置づける者がおり、それが労働者政府内の対立をもたらす。また、ライヒ中央政府も同様の考え方をしており、両州にプロレタリア百人隊の解散を命じた。その背景には、ザクセン州とチューリンゲン州の共産党に関する不正確な報告があったと言われている。
 結局、ザクセン・チューリンゲン両州の労働者政府は、不正確な報告書を以て動いたライヒ中央政府による強制執行のために、崩壊に追い込まれた。しかし、一方のヒトラーによる「ベルリン進軍」もカールの裏切りにあい挫折する。


おわりに
 このように、1923年ドイツにおける社会主義革命と世界革命の試みは挫折した。これは、「労働者政府の樹立」に関して地方と中央・コミンテルンの認識のズレが原因であろう。しかし、その一方で「バイエルン・ファシズム」による「ベルリン進軍」もまた失敗していたのである。



<シタン先生の評価>
 人間や組織などのアクターが多く、またそれぞれの認識にまで迫っているにも関わらず、非常に明快な論旨。しかも、社会主義の新たな側面を描き出すことに成功していると言えるだろう。


<シタン先生の問題意識>
 本論とは直接には関係ないが「三頭政治」の実態が気になる。
「三頭政治」:非常事態宣言を行ったバイエルン州が、反動的な分離主義者であるグスタフ・リッター・フォン・カールを国家総督にした。彼に加えて、第7軍管区司令官オットー・ヘルマン・フォン・ロッソー、バイエルン州警察長官ハンス・リッター・フォン・ザイサーらが政治の実権を掌握した状態。


とりあえず、『社会主義の世紀』レビューはこれで終了と言うことにします。また、時間があれば、他の章に関してもレビューをするかもしれません。次回からは、今度こそ『終わらない20世紀』レビューを再開しようと思います(笑)


今回も読んで下さってありがとうございました☆それでは♪


応援クリックよろしくお願いします!!



社会主義の世紀―「解放」の夢にツカれた人たち
熊野 直樹 星乃 治彦
法律文化社 (2004/11)
売り上げランキング: 805,469
スポンサーサイト

テーマ : 歴史
ジャンル : 政治・経済

コメントの投稿

非公開コメント

とりあえず

 お疲れ様でした。。。(^^

 ところで、一太さんのことについてですが。。。

 生理的に好きになれないのは、それはそれで仕方ないと思います。。。

 ただ、一太さんも一太さんで、本当に自分の政治生命を賭けて安倍さんを応援しているとうことは知っておいて欲しいと思います。。。

 実際、同じ群馬県出身の福田康夫氏がいるのにもかかわらず、福田さんを応援しないで安倍さんを応援していることに、地元の有権者からはかなりキツイ非難の言葉が多数寄せられているのですね。。。(福田さんの不出馬で、何とか「最悪の状態」は回避しましたが)

 そういうリスクを承知の上で、それでも安倍さんを応援しているということは、本当に捨て身の覚悟が必要だと思います。。。

 自分の政治生命を賭けて、他人の応援をするなんて、なかなか出来ることではないですよね。。。

 そういう、腹の据わった、けっこう度胸のある政治家なのですね、山本一太さんという人間は。。。

(歌を歌ったりもしていますが、あれも、今までにない新しい形式の政治活動なのだと思います。。。)←歌が持っているメッセージ性は、なかなかあなどれないものがあると思いますからね。。。

Jun♪さん、コメントありがとうございます。

>ただ、一太さんも一太さんで、本当に自分の政治生命を賭けて安倍さんを応援しているとうことは知っておいて欲しいと思います。。。
>そういうリスクを承知の上で、それでも安倍さんを応援しているということは、本当に捨て身の覚悟が必要だと思います。。。

彼がしている行動というのは、確かにリスキーですよね。少し前になりますが、森氏からもだいぶ圧力がかかっていたようにも思えますし。半端な覚悟では、やはりあそこまでするのは難しいかも知れませんね。


ではでは、コメントありがとうございましたノシ

はじめまして

こんにちは。

社会科学ランキングのブログを色々見て、こちらにたどり着きました。
私は某大学の社会心理学専攻の大学院生です。政治学でなくとも、いろいろ社会問題に関心があり、幅広く勉強したいと思っています。それで、このようなブログだと色々勉強になります。
私は大学院受験にかなり苦労しました。それで、大学院を目指す方のブログを見ると身近に感じます。

大学院受験がんばってください。

のいちごくっきーさん、はじめまして☆

>私は某大学の社会心理学専攻の大学院生です。政治学でなくとも、いろいろ社会問題に関心があり、幅広く勉強したいと思っています。それで、このようなブログだと色々勉強になります。

このブログは、私の勉強記録かもしれません(笑)基本的には、政治学、政治史の勉強記録になると思いますが、他にも、今、現実に起こっている政治・社会事象について、何らかのコメントができたらと思っています。政治学を学んでいらっしゃらない方にもなるべく分かりやすいように心がけていくつもりです。コメントなども大歓迎です☆

>私は大学院受験にかなり苦労しました。それで、大学院を目指す方のブログを見ると身近に感じます。
>大学院受験がんばってください。

応援ありがとうございます♪現在、英語に苦戦中です(涙)中学生レベルの人間がどうやって大学院英語をやるのかと…(汗)ですが、やるだけのことはするつもりです!!

ではでは、これからもよろしくお願いしますノシ
最近の記事
最近のコメント
最近のトラックバック
月別アーカイブ
カテゴリー
FC2ブログランキング

FC2ブログランキング

FC2カウンター
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

ブログ内検索
RSSフィード
リンク
天気予報

-天気予報コム- -FC2-
FC2カウンター
プロフィール

シタン先生

Author:シタン先生
少し回り道をしながらも、何とか内定にこぎつけた修士二年生のブログ。ぼちぼち更新しますよ。

コメント、トラバ大歓迎!
ただし、関係のないものについては予告なく削除させていただきます。

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。