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『這い上がれない未来』レビュー

こんばんは、シタン先生です。


私の周囲で大学院を受験する友人が、思った以上に多いことを知りました。そして、大学院の願書を請求している人の名簿をこっそり見たのですが、関西圏を中心に色々なところから受験しようとしているんですねぇ。何だか、プレッシャーです。少々胃が痛くなりました(苦笑)


今回レビューする本は、前回に引き続き藤井厳喜氏の『這い上がれない未来』です。この本はどうやら藤井氏の3部作の完結編という位置づけらしいです。ちなみに、前回レビューした『「国家破産」以後の世界』は第2部のようです


どちらも、300頁程度の分量があるので一日で読み終えるのはなかなか厳しいものがありました。その上でのレビューなので、正確さという面ではあまり自信はありません。もちろん、それほど的はずれなレビューをしているつもりもありませんが(笑)
※誤読の指摘などはコメント欄にて随時受け付けております。管理人の勉強にもなりますので遠慮なくよろしくお願いします。また、本を読んで、私と議論してみたい点があれば、遠慮なく書き込んで下さい。


それでは、さっそくいってみましょう。


藤井厳喜『這い上がれない未来~Never-Climbing Society 9割が下流化する「新・階級社会」~』光文社ペーパーバックス 2005年



<本書の紹介>
本書は、国家破産が起こった場合(一応、それがなかった場合でも)、確実に到来する「新・階級社会」が、我々に如何なる危機をもたらすのか、そしてその危機を乗り越えるために我々は如何に行動するべきかが述べられている。



<本書の要約>
 現在の日本は国債という借金なしにはやっていけない状況にある。「改革」を叫んで登場した小泉内閣も結局のところ何も「改革」していないのが実情である。このまま行けば、まもなく国家がすべての資産を失う「国家破産」という事態が到来する。そして、その後日本の大多数である「中流」のほとんどが「下流」に転落し、そのまま這い上がれないという「新・階級社会」が到来する。しかし、その一方で努力と能力次第で這い上がれる可能性も若干ながら残されている。

 経済財政諮問会議が2005年4月19日に発表した『日本21世紀ビジョン』という報告書には様々な内容が書かれているが、その内容はどれも具体的な裏付けに欠けたホラ話である。それでも、それを発表したのは「ウソの向こうに真実が隠れている」からであり、分析の結果、その「真実」は「日本の財政破綻と、その後の日本」だと思われる。小泉首相や官僚らは一見すると婉曲な表現で「日本の財政破綻」を認めるものであり、これをアリバイとして将来の国民からの批判をかわそうとしているのだ。しかし、その事実を知るものは少なく、将来来るであろう「日本の財政破綻」に備えようとする者はそれほどいない。

 「国家破綻」後の社会としては、ハリケーン「カトリーナ」によって甚大な被害を受けたニューオーリンズ州を思い起こしてくれればよい。そこでは、貧しい人々は逃げる場所もなければカネもなく、無法地帯の中で暴徒も出てきた。また、老人ホームの老人が救助されないまま死亡するという事件も起きた。そしてエネルギーの観点で見た場合は、現代の石油依存社会の中で、石油高騰のインフレから最終的に食糧の奪い合いに発展する危険もある。さらに、企業の観点で見た時は、「所得の平準化」つまり我々の給料が減少する。このように、「中流」の多くは「下流」に転落するのであるが、現在の日本は未だ「再挑戦の機会」が保障されておらず、旧来の「勝ち組」が居座っている状況なので、「下流」に転落した者の多くはそのまま這い上がることはできない。そして、さらに階層の固定化も進みつつある。

 「中流」ほど「階級」というものを意識している。それは上の「階級」に上がる事であり、また下の「階級」に落ちない事を意識することである。しかし、「下流」に転落しないためには、大多数が抱いている「中流意識」を捨て、「下流意識」を知ることが必要である。

 江戸時代から現在にかけての日本は、「身分社会」、「学歴平等社会」、「学歴世襲社会」という過程を経てきた。そして「格差社会」そのものは悪くなく、階層移動の可能性がある「格差社会」つまり「学歴平等社会」はむしろ好ましい。日本に近代化をもたらしたのも下級武士らが求めた「階層の流動」であり、立身出世のための努力であったからである。それならば、現在の学歴社会も肯定されるように思われるが、現在の学歴社会から生まれたエリートは実践的ではない点で問題がある。結果的には彼らが日本の財政破綻をもたらしたのである。そしてまた、学歴社会といえばアメリカというイメージがあるが、奨学金が充実していたり単に大学を卒業しただけではなく何を学んだかが重視される点で、日本のそれとは異なる点が多い。

 現在のグローバル化の中で、世界規模での「下流転落」が起こっている。それは、先進国の企業がその労働力を安価な海外に求めるからである。同等の能力である場合は、企業は当然人件費が安い国の人材を選択する。その中でも、なお「中流」にとどまるためには、最初の段階としてまず「学歴」が必要となる。しかし、世界基準の格付けで見た場合、日本の大学のレベルは非常に低いと言わざるを得ない。今後は韓国や中国の学生のように積極的に英語を学んで海外留学し、修士号以上を取得することが望まれる。

 その他にも「中流」に残るために、世界共通の資格を取ることなどが求められるが、最低限「自分らしさの追求」、「陰謀論」などといった「下級マインド」は身につけてはならない。



<本書の特長>
・「中流」に残るために必要なことが書かれている。
・具体的なデータが用いられており、分かりやすい。



<本書の問題点>
・結論は理解できるものの、そこに至るまでの論旨が非常に難解である。
・三浦展氏の『下流社会』に論旨の大部分を依拠しているため、その本を前提としていないと理解が困難になりかねない。
※『下流社会』のレビューは、私のブログにもあります。
・説明はなされているものの、「○○社会」という言葉が非常に多く、それが読者の理解を困難にさせている側面がある。
・本書のターゲットが分かりにくい。
・各項目毎の繋がりが見えにくかった。
・重要部分で他の研究者の議論に丸投げしている印象を受ける。



<感想>
とにかく分かりにくい。

要約をし難かった本の上位にランクインされる。前回のレビューであれだけ書いてしまった自分が疑わしくなりました。ただし、それでも筆者の結論には賛成ですし、一定の説得力もあります。『「国家破産」以後の世界』と内容的に重なる点も多いので、こちらを読めば事足りるでしょう。

ただ、この本を読んで「勉強をもっと頑張ろう!!」という意識は高まりました。



今回はとにかく疲れましたね~(苦笑)
いつの間にか、朝の4時だし・・・レビューのためにどれだけの時間を費やしたんでしょうか(汗)
明日からは通常通り『現代政治学(新版)』のレビューに戻る予定です(個人的願望を含む 笑)。


今日も読んで下さってありがとうございました☆それでは♪


応援クリックよろしくお願いします!!



這い上がれない未来  Never-Climbing Society
藤井 厳喜
光文社 (2005/12/14)

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テーマ : 格差社会
ジャンル : 政治・経済

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非公開コメント

こんちは~ノシ
では、遠慮なく書き込ませてもらいますね(笑

『国家破産~』のレビューと読ませていただいたんですが、まずは「なぜ破産が不可避なまでの状況になったのか」という点が見えてこないです。

また、ちょっと議論が錯綜してるなという印象を受けました。
著者は「階層の固定化」、「階層移動の可能性」がない社会状況を否定しつつ、結論的にはその「新・階級社会」でいかに勝ち残るかを問題にしていますよね。
世界的に「下級転落」が起こり、大多数がいわば「負け組」に固定化される事態が進んでいるのであれば、いくら留学したり資格を取ったりして著者のいう「学歴」を身につけたところで、社会的には競争が煽られ階層の固定化を推し進めることになるんじゃないでしょうか。
ここでは社会の問題が個人の問題に転嫁されていること、自分で否定した社会状況が結論的には前提されていることが指摘できると思います。

しかも、大学が階層の再生産に大きな役割を果たしてきたこと、また大学政策が一部のエリート養成に傾斜してきていることを踏まえれば、これは「勝ち組応援」の議論にもなる危険を含んでいると思います。

正直、僕はあまり関心のできる議論ではないなぁと思いました。
読んでないので、的外れなこと言ってたら申し訳ないです。時間が許せば一度読んでみますね~。

では、お疲れ様です。
院試の勉強がんばってください!!

秋さん、お疲れ様です☆

正直この本に関しては、ちゃんとしたレビューができているか不安だったので、このような意見があるとものすごく助かります♪

回答・議論に対する見解についてはしばらく考える時間を下さい。では、後ほど。
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