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「宰相吉田茂論」レビュー

皆さん、こんばんは。シタン先生です。

今日は、大学の有志で勉強会をしていました。やはり、勉強会ってのは大学でしかできない醍醐味ですね♪

忌憚のない議論、新たな視角の発見、その後の飲み会・・・最高です(笑)

さて、今回はその勉強会で使用した、高坂正堯氏の「宰相吉田茂論」のレビューをします。この要約自体、勉強会で使用したんですけどね(苦笑)ですが、皆さんにはより読みやすいように、若干の修正を加えてあります。

この論文は、戦後日本外交の通説をなす論文なのだとか。自民党の有力者や知識人など幅広い人に読まれたそうです。論文にしては珍しいですね。そして、この論文では、吉田の人間性や仕事についてかなり詳細に書かれています。それでは、行ってみましょう。

高坂正堯 「宰相吉田茂論」 『中央公論』 1964年2月

<本文の要約>
 今日、吉田茂は不当におとしめられて理解されている気がしてならない。安保条約の際には署名し責任の所在を明らかにしたのは吉田のみであった。吉田は国際政治について確固たる哲学を持ち、その哲学が指し示す地位を日本に与えようとしたのではないか。そして、吉田は政治的、経済的関係を国家間の関係の基本と信じ、その意味で名誉ある地位を日本が国際社会において占めるという一つの願いを抱き、そのために努力してきたのではないか。それを改めて論じるべく、

彼は「戦争で負けて外交で勝った」のであろうか、

という問題について追っていく。



 吉田はまず政治と外交についての実際家であり、それに徹した職人であった。また彼は頑固な親英米派でもあった。戦争回避に尽力し、戦後は天皇制を守るために活動したのも吉田の特徴である。彼は天皇の臣たちの伝統に沿って、日本が国際社会において名誉ある地位を占めるという一つの願いを抱き、その実現に向けて努力していた。

 このように「大日本帝国」時代の意識を持っていた吉田は、日本に対して複雑な思いを抱いていたマッカーサーと意識を通じ、彼と対等な立場で連日の直接取引をするようになる。これは、講和折衝に向けた既成事実化という意味を持っていた。しかし、その一方で日本の民主化以外に興味を持たない民生局には強く抵抗する。

 ところで、当初の吉田は首相の座につくことを了承しようとはしなかった。より大きな権限を持ち自由に行動するために相手側からの譲歩を狙っていたのである。そして、首相に就いた吉田は「改革」と「統治」というジレンマに悩む占領軍の関心をうまく統治側に持っていき、戦後改革を日本の実情に沿うものにした。しかし、それは農地改革と教育改革といった外部からの革命で終わるという「奇妙な革命」をもたらした。

 国民と吉田の望みであった国際社会の復帰であるが、その方法については意見が分かれていた。講和の問題と、日本の安全保障の問題は密接に関わっており、その鍵を握る憲法9条が国民の中になんら危惧の念を伴わずして受け入れられていたからのである。全面的講和を主張する知識人らと、単独講和を主張した吉田は激突したまま終わってしまう

 アメリカが積極的に対日講和をすることを決意したとき、吉田が最初にとった行動は「待つこと」であった。経済優先の考え方を持つ吉田は、当初は講和に対しても慎重な姿勢を見せ、アジア諸国の感情や憲法第9条を盾にすることで、日本の安全保障をアメリカに負担させるという手に出たのである。吉田のこの目論見は成功したものの、それは同時に共産主義陣営との問題、沖縄占領や国民政府との講和といった代償を支払うことにもなった対中政策に関して業績面から見た場合は、資産よりも負債を残した

 講和後の国民は、強引さよりも納得を重要視するようになる。一方、具体的な意味での国家的利益の追求をやめようとしない吉田は仕事・権力に執着した。吉田の没落はここから始まる。だが、この商人的政治観こそが、戦前の日本の国際政治観からもっとも遠くにあるものといえるだろう。吉田は、日本にとって必要な国際的地位を与えた点においては「戦争で負けて外交に勝った」。しかし、同時に新たな価値を追及するという試みを挫折させている。また軍備に関する国論の二分は、今後の日本の懸案である。しかし、これからのナショナリズムとインターナショナリズムと個人主義が複雑に絡み合った世界の中で、国論の分裂し、常に軍備の危険が指摘される状況は実は好ましいのかもしれない。


<コメント>
・多分に吉田擁護の姿勢が見て取れる。
・吉田の功績と問題点について最後になって逡巡しているように思われる。その記述が読者に混乱を与える。
・吉田の人物理解を正したいのか、吉田の外交姿勢を導き出したいのかが今ひとつ理解しにくかった。

それでも、吉田茂その人、もしくは敗戦直後・戦後の外交を勉強するに当たってこの論文を読むことは非常に有益だと思います。とりわけ、安保問題や講和条約締結は、その後の日本を大きく規定した出来事だけに、当時の状況を知ることは大事でしょう。それを知った上で、現在の問題を見てみると、また新たな視点が見えるかも知れません。

さて、今回はこれぐらいにしましょうか。昔の中央公論なので図書館などに行けばあるでしょう。私がPDFファイルの技術などを持っていれば、アップも出来たのでしょうが・・・まぁ、無理ですね(笑)


今日も読んで下さってありがとうございました☆それでは♪


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テーマ : 政治家
ジャンル : 政治・経済

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ちゃっす!初カキコです。
しっかし、これまたまじめなブログだね。でも、すごくためになるし、面白いぞ!毎日チェックするんでよろしく(笑)

初カキコありがとうございます!!

普段の私からは想像できないくらい真面目なブログです。読書(特に論文系)の時のモットーは・・・、

「読書の時間は筆者との殺しあいだ!!」

です(笑)まぁ、結構真剣にレビューしてます。そのせいで更新は遅めです(爆)なるべく毎日更新するので、来て頂けると(+クリックして頂けると)うれしいです♪

ではでは、コメントありがとうございましたノシ

吉田評価は難しいですよね~。
現在まで続く戦後日本の方向性の評価ともかかわりますから。

この本を読んだことはないので詳しくはわかりませんが、僕としては吉田を「戦争に負けて外交に勝った」と評価するのは反対ですね。
「日本にとって必要な国際的地位を与えた」という時に、当時の軍事ブロックに分割されていた世界情勢の中で、新しい憲法に照らして日本がどういう国際的地位を確立すべきであったかが問題にされるべきだと思います。
その後の経済復興などとの関係で、単独講和や日米安保が積極的な役割を果たしたとはいっても、それは戦後世界史の発展方向から見れば日本の国際的地位を逆に危ういものにしているんじゃないかと・・。

そんなことを思いました。
まあ、この本は当時の時代状況の中での吉田政治を積極的に捉え直すのが主眼のようですから、本の論点からは外れる問題かもしれませんけどね(^^;

こういう話だとコメント長くなっちゃいますね・・・もっと端的で明快な文章が書ければなぁ(´ヘ`;)

 吉田外交の評価は、そこが難しいんですよね。良くも悪くも、吉田あっての戦後日本なので。

 秋さんの考えもまったくもってその通りだと思います。ご指摘されたとおり、憲法さえ、制定した当の吉田にとっては道具だったとも言えるかもしれません。それに、単独講和、日米安保という彼の選択が、現在の日本の「存立を揺るがす」ほど大きな問題に繋がっていることは、火を見るよりも明らかです。そして後々、それらの問題を、「修正」できないほど、彼の作った関係は強かったなのですから。

 ただ一方で、彼の活躍なくして、「日本の繁栄」がなかったと言っても、それは過言ではないでしょう。アメリカからあれだけの譲歩を引き出せるのは彼しかいなかったのですから。冷戦の勃発で、日本は経済的に発展させるべきとの方針が採られましたが、その変化があったとしても、彼以外の人物でここまでの仕事が出来るかというといささか疑問が残ります。海外の例を挙げるのは気が引けますが、旧指導層を徹底的にパージして「改革」が成功した国を私はまだ知りませんし。

 本論文の批判としては、やはり形式面から攻める他ないかとも思います。彼の仕事を評価するという行いには、多分に現在の価値判断が入り込むので(もちろん、その行いにも価値は認めますが)。批判される時もあれば評価される時もあります。高坂さんの持ち上げぶりは現在の感覚からは、いささか過ぎたものがあるかも知れませんが、当時の時代状況はかなりひどいアンチ吉田だったようですし。

 結局、私の中でも筆者の見解に賛同するかは、迷っています。これからの勉強で考えていくしかないのかなと。

私も結局長文になってしまいましたw
精進精進☆

コメントわざわざありがとうございました!ではではノシ
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